過去10年のシネアドのメディア調査を総括~動画メディアとしての有効性が認められているシネアド~
これまで我々シネブリッジは、「映画を通じ、ブランドと優良な消費者の懸け橋に」をスローガンに、映画館で上映する企業CMの「シネアド」をはじめとする 「インシアター・プロモーション(映画館で実施する企業プロモーション全般)」や映画館のキャンペーン企画、映画宣伝・タイアップなど、映画業界をフィールドに多くの企業やブランドの広告活動をサポートしてきました。特にシネアドの分野では、豊富な情報と知識、アイデアやネットワークを活かし、様々なインパクトあるコミュニケーションプランを企画・提案して実績を積み重ねてきました。
さらに、グローバルでは優れた動画メディアとして有効性が認められているシネアドについて、日本でも同様の認知を獲得すべく、リサーチ・マーケティング関係者の協力を得て多くの調査を行ってきました。今回、そのリサーチの中からいくつかの興味深い結果をまとめました。
1.シネアド接触者の質の高さが鮮明に
今から10年前の2013年に実施した「映画館オーディエンス」と「非オーディエンス」の意識調査では、シネアド接触者の質の高さが鮮明になりました。メディア利用時間と広告への意識については、映画館オーディエンスは「メディア接触時間が長く」かつ「各メディアの広告意識が高い」ことが分かりました。(図1)
また、調査時(2012年)に新発売/話題になった商品の購買率の差も大きく、映画館オーディエンスは、商品ローンチ期の早いタイミングで購入する傾向にあることが明らかになりました。(図2)
2.シネアドは1回の露出でも明快な効果が生じる
2016年には、「シネアドとTVCM重複接触者」、「シネアド接触者(TVCM非接触)」、「TVCM接触者(シネアド非接触)」に分けて比較検証を実施。シネアドはブランド名の第一再生を高め、ブランド属性の理解も高めることが明らかになりました。同様に2018年に行った調査でも同様の結果となり、シネアドの明快な効果が明らかになりました。
本調査では「シネアドとTVCM重複接触者」と「TVCM接触者(シネアド非接触)」では、重複接触者の方がブランド再生が高い結果となりました。ボルボの「外国メーカーの自動車」としての第一再生と、大塚製薬の「女性向け小瓶飲料」としての第一再生は約2倍の差が生じる結果に。また資生堂の「ファンデーション」としての第一再生は約1.3倍の差が生じました。花王「ビオレu」はあまり変化は見られませんでした。(図3)
態度変容でも、「シネアドとTVCM重複接触者」と「TVCM接触者(シネアド非接触)」では、重複接触者の方が態度変容が高い結果となりました。さらにTVCM接触者に対してシネアド接触者の態度変容は約1.2倍となり、シネアド単体でも高い効果が得られることがわかりました。そしてシネアドとTVCMの組み合わせが態度変容に大きく貢献することが明らかになりました。(図4)
3. 優れた視聴環境が意向形成に強みを持つことが明らかに
2019年には、約100か国で展開する 「カンター・グループ」 の日本市場における代表である「合同会社カンター・ジャパン」をパートナーに迎え、クロスメディアキャンペーン評価手法としてグローバルスタンダードとなっている “CrossMedia Research ™”(クロスメディアリサーチ) というソリューションを用いて、日本国内で初めてシネアドを含めた調査を実施。
シネアドは2週間上映のため1回という限られたフリークエンシーであったものの、「認知形成」「イメージ形成」「意向形成」というブランド構築重要指標のいずれにも効果を生みだしていることが明らかになりました。また、ブランドリフト値を各メディアの平均フリークエンシーで割り、各動画メディア1imp(1回接触)あたりの態度変容効果をもとめてみると、いずれの指標においてもシネアドが圧倒的な効果を発揮していることが証明されることになりました。(図5)
これまでの調査を通じて
この10年でスマホが普及し、メディア接触時間に大きな変化がもたらされた中、グローバルでもシネアドの持つメディア力に改めて注目が集まっています。これまでの調査を通じて、目の前のスクリーンに没入するために作られた映画館の優れた視聴環境で見る広告(=シネアド)は、他のメディアに比べて注視力が高く、ブランドリフト効果があることが明らかになりました。広告のメッセージを正しく消費者に伝え、購買行動を引き起こすことができるメディアとして有効性が高いと言えるでしょう。