6月14日は「認知症予防の日」。疾患啓発のために映画館だからできること。
こんにちは、株式会社シネブリッジのマーケティング担当、中村です。さて、6月14日は「認知症予防の日」であることを皆さん知っていますか?
認知症予防の日(6/14)とは
認知症の大きな原因とされるアルツハイマー病を発見した医学者アロイス・アルツハイマー博士の誕生日に因んで日本認知症予防学会が制定。
「認知症予防の大切さ」を周知することを目的としています。
高齢化社会となった現在、誰もがなりうる病気として、予防を心掛けること、また病気について知ることは大切ですね。
映画館での疑似体験
アルツハイマー患者が感じる不安
認知症に対する理解や予防の啓発活動は世界各国で行われていますが、2014年にイスラエルでは、アルツハイマー患者の支援を行うEMDAが映画館を使って、あるシネアド(映画館CM)を実施しました。
それは、観客に「選んだ映画とは違う映画を見せる」というシンプルなもの。
上映が始まり、違う映画が上映されると観客は騒然。チケットを確かめたり、退出しようとする人も。
そこに、メッセージが上映されます。
実際に観客にアルツハイマー患者の不安を疑似体験させ、病気についての理解を深めてもらうためのシネアドだったのです。
実際に体験した人たちがSNSなどで拡散したことで、大きな広告効果があったと言います。(映画館に来る人たちは拡散力が高いことが証明される結果でもありますね。)
映画館という特別な空間だからこそできた認知症に対する理解向上のシネアドではないでしょうか?
ほかにも、映画館の特性である「暗闇」を活かして実施された疾患啓発活動があります。
呼吸困難な遺伝性疾患
2017年にアイルランドでは、遺伝性疾患の一種である嚢胞性線維症(のうほうせいせんいしょう=通称CF)患者を支援する団体がシネアドを展開。
罹患者の多くが、通常の呼吸さえ難しく苦しんでいる難病であることを周知するため、観客に映像ではなく“呼吸音”を意識させる映画館用の60秒CMを制作。国内73館で5週間に亘り上映しました。
携帯から「50300」にテキストメッセージを送ることで、CFアイルランドに4ユーロの寄付ができ、オンラインからも寄付ができることを観客に訴え、支援を呼びかけました。
白内障手術の役割
2019年にはアイケアのグローバルリーダーであるアルコンが、10月11日の世界視力デーに向けインドで“失明回避の為の白内障手術の役割”を啓発するシネアドを展開。
真っ暗なシアター内で音声のみを流し、「白内障のために3秒毎に1人失明しており、それが今日の失明の最大の原因です」と謳ったCMを上映。観客の注意を引く方法で、手術の役割の認識を促しました。
いずれも観客に疑似体験させることで病気についての理解を深める機会となった秀逸なシネアドとなりました。
映画館だからできること
もちろん「映画」を通じて、認知症などの病気について私たちが理解を深め、心を揺さぶられる機会も多々あります。
若年性アルツハイマーを題材にした韓国映画「私の頭の中の消しゴム」は日本でも興収30億円を記録する大ヒットとなりました。美しいラブストーリーが観客の心を掴んだと同時に、病気についても考えさせられる機会となりました。
近年では、認知症患者の視点から描かれた「ファーザー」が、観客も引きずり込まれる内容で大きな話題を呼びました。同作で主演のアンソニー・ホプキンスがアカデミー主演男優賞を受賞。アンソニーの演技が素晴らしいのはもちろん、認知症を疑似体験させられたかのような展開も秀逸でした。
私たちの身近なエンタメ施設である映画館。映画や映画館でのプロモーションを通じて、認知症などについて理解を深める機会を提供できる場所でもあります。
以上、映画館だからこそできる疾患啓発をご紹介しました。引き続き、noteの更新を楽しみにしてくださいね。